vol.6 IZU TRAIL JOURNEY 2023
もう年の瀬ですか。
早いですね。
先日28歳になりまして、そろそろ若手とは言いがたい年齢といいますか。
ずっとナトリ君、ナトリ君と言われてたのが「名取選手」と言われることも増え、時代の流れを感じます。
あぁもう若いから…という言い訳は全く通用しなくなるなと。中堅といったところでしょうか。
それなのに今年はUTMF、比叡山マイル、奥信濃、ハセツネ、どれも結果は全く残せず。
前はイキり散らかしていた訳ですが、最近は引き気味に「いやいや一般枠なので」「完走が目標です」と自虐するばかり。いや言い訳なら山ほどあるよ。でもやってないものはやってないから仕方ない。もうなんなら開き直っちゃってる。競技者としてどうなんだ?それでいいのか?
それでもポンコツな僕に期待してくれる皆様も少なからずいますし、腐るわけにはいかないのでやるしかないのです。
そんなわけで走ってきました。
IZU TRAIL JOURNEY 70K
結果から言うと55knでリタイアしました。
年末、有終の美とはほど遠い結果でしたが、今シーズンのベストバウト、一番いい走りができました。ここに向かうまでの道のりは正直苦しかったけど。やっぱり目標に向かって頑張るのはいいなと。しみじみ思ったわけです。
またブログ書いていきます。
そんな訳で今日はITJ(※レースは敬称で)に向かうまでの日々とレースレポートになります。
話は6月まで遡り。
今いる会社に転職を決め、7月、8月は正社員として3年半働いたZUND-BARと現在の職場をバイトとして働くような環境でした。休みはほぼなく、日々仕事、日々らーめん。ハセツネに向けて練習を積みたいとこでしたが、思うような練習量や内容も全くこなせなかった。これなら早々とDNS宣言したいぐらいだ。
8月に嫁氏と入籍。ラブラブ新婚生活なんてことは全く無く、仕事、練習、仕事、練習、家庭のことはそっちの気である。嫁氏は日々キレ散らかしてます。ごめんよ。
9月から現在の娘娘で正社員として働き始め、週休1日、休みは日曜日だけで、朝から晩まで働き詰めの毎日。入社と同時に店長を任された訳なので、まだ要領も悪かったこともあり全く練習時間を捻出できなかった。でもスタートは肝心。お店を任せていただけるなんて幸せなことだ。これが待ち望んでいたハードワークだ。仕事をしているときは大変だけど、最高に楽しい。
家と職場の往復で1日が終わり、帰宅と同時に風呂にも入らず、ソファーで寝て、次の日シャワーを浴びて家を出る。これが僕の新婚生活。
それでもハセツネは近づいてくる。仕事は忙しい、走れない、なんなら練習しても全く調子が上がらない。あまりにも走れないので貧血を疑った。病院で検査したらサイトメガロウイルスとかいう訳分からんやつに感染してた。肝臓とかリンパの数値がおかしく、走るどころではないと。当然ですが、ハセツネは早々と第一関門でリタイアして、今シーズンはもうダメだ…あちゃあ…となった。
もう年末まで全てのレースをキャンセルしたかったぐらい。自信喪失である。
でも今年お前は何か残せたのかと。
やってダメなら仕方ない。
でもやっても無いのに諦めるのは違うんじゃないかと。
10月下旬、仕事も順調ではなく毎日忙しいけど、少しずつ慣れてきて要領も良くなっていった。
そこから体調と相談しながら仕事の休憩時間にジョギングを再開していった。
10km、15km、20kmと少しずつ距離を伸ばしながら、本来は足を作る段階の練習から地道に始めていった。
10月末のヤビツ峠走、11月頭にトラックで1000mのインターバルをした時に、以前より走れるようになってきたことを実感して、ITJの出場を決めた。今年最後のビックレース。何か残したい。何か自分の中に得るものを掴んで来年を迎えたい。そう思ってレースまでの期間に練習を重ねていった。
レース前日。
残念ながら仕事を休むことは出来なかった。早朝に仕込みを行い、午前中に三島で受付と必携品チェックを受けてからすぐに神奈川のお店に戻り夜まで仕事。忙しかった。でも忙しいのは幸せなこと。仕事があるから走ることも、大会に出ることもできるのだ。
前日は嫁氏のピーマンの肉詰めを食べてすぐ寝た。そうは言っても22時に仕事が終わったので、寝るのは23時だったけど。
レース当日。
嫁氏は1時半に起きてせっせと準備していた。
僕は2時に起きて手早く準備を済ませ、嫁氏の運転でスタート地点の松崎へ向かった。
少しでも睡眠時間を捻出できるように、毛布やら持ってきたけど、結局30分くらいしか道中寝れなかった。おいっ
寝れないもんは仕方ない。やるしかないのだ。
スタート1時間前に会場着。
芥田さんにニューハレを貼ってもらったり、同じTabisuke Tabizoからサポートを受けている南圭介選手や、ニーマルメンバーのセブン君と話して整列を待った。ウォーミングアップは本当に軽く。寒いし、変に汗をかいて、整列時に汗冷えしたくなかった。今日は長旅になるぞ。
並ぶ直前に嫁氏に荷物を渡す。
「スタートしたら左側にいるから、左側走ってよ」
「分かった」
「調子はどう?」
「いいかも」
「今日は止めないでよ?」
「分かったよ笑」
「頑張ってね」
「行ってくる」
早朝と言うか、深夜から運転してくれてありがとう。
前は40km過ぎの仁科峠で止めて、嫁氏に迎えにきてもらったなぁ。あの時は下りで膝を痛めた。今日はゴールまで行かなくちゃ。
最前列に並ぶ。いい顔ぶれだなぁ。
ワクワクする。
市毛富士雄選手と握手する。
「市毛君、久しぶりだね。頑張ろう!」
「名取さん、お久しぶりです!頑張りましょう!」
比叡山以来の再会。今年大躍進の市毛選手。
関西のショート、ミドルレンジのレースでは常に上位だ。去年のハセツネでも6位。すっかり格上選手である。
その横、西村広和選手とも握手する。
「チャンプ、絶好調ですね!頑張りましょう!」
「おぉ~!ナトリ君やないかい!頑張ろうな!」
比叡山ではお互い途中棄権してから長い時間お話させていただいた。いつも明るい関西のスーパースター、今日の優勝候補大本命である。
二人と握手してから最前列端に陣取る。
すぐ横には横内祐太郎選手。
「横内さん、FTRの疲労どうですか?」
「おい!それ言うなって!走ってないことにしてるから笑」
「長田さんの投稿に書かれてましたよ?笑」
「あいつ余計なこと書きやがって…笑」
二人でにやにやしながら話す。横内さんも今日の優勝候補。スピードランナーでITJのコースははまる選手。ついていったら絶対ダメ。第一関門で即試合終了である。
スタート3分前
レインジャケットをザックにしまう。みんな上着羽織ってないけど寒くね?
ま、寒くなったら途中で着よう。
今日は緊張しないなぁ。
勝負しにきた。いや楽しもう。まずは完走。でもやっぱ出るからには勝負するか。その時が来たらプッシュするか。
スタート1分前
今日はどんなレースになるかな。
おい平賀、元気にやってるか?
最近走ってないみたいだけど。
ITJに初めて出場した6年前、お前とバチバチ勝負したなぁ…
また楽しく二人で山行こうぜ。竜太の兄貴も連れてさ。
あの時はスポルティバのユニフォーム、大瀬さん、松永さん、谷さん、吉田さん、みんなとヒリヒリしたレースで楽しかったなぁ。
今日は暖かい日になるらしいけど、本当かよ。すげぇ寒いけど。
このメンツじゃトップ10もかなり難しい。
ITJは40km過ぎてから勝負。あくまで中盤から終盤にかけて攻めるイメージで。でも前半からある程度の位置にはいないと。
大きく息を吐く。
あぁ、やることはやった。
うん、最善な尽くした。
勝負を楽しもう。
AM 6:00
レーススタート
少しダッシュする。
先頭に西村選手、横に鬼塚智徳選手と横内選手。
カーブを曲がって少しずつ後退していく。
先頭集団に着いていく選手を眺めながら、30mほど距離を取る。
あそこの位置じゃ早々と終ってしまう。
今日はもう少し後ろから行こう。
万場大選手と大瀬和文選手に抜かれる。
この位置なら間違いないな。
大瀬選手と並走する。
「大瀬さん、今日なんでメガネなんですか?」
「コンタクト忘れたんだよ~」
「インスタ見たけど、お前も(仕事)大変だな」
「まぁまぁ。でも自分で選んだことなので。」
「でもいいじゃん?店長してるんでしょ?」
「そうです。毎日楽しく仕事してますよ。」
「それでいいんだよ」
こうやって6年前も大瀬さんと一緒にITJを走った。前は6位~8位のあたりでバチバチやってたけど。
大瀬さんは東海大学の大先輩。初めて知ったのは、もうだいぶ前のRUN+TRAILの切り抜きで。その後はTARZANのUTMB挑戦企画のメンバーに選ばれたのを雑誌で眺めていた。トレイルランニングの時代の流れと過渡期に身を置いてきた感じ。
あの頃、トレイルランニングのいろはを教えてくれたお兄さん、おじさんたちは走らなくなったり、いなくなっていったり。
その中で10年近く、もうベテラン?、今でも大瀬さんと一緒に走り続けてるのは感慨深いというか。年は離れてるけど、同志って感じ。(※大瀬さん、失礼だったらごめんなさい)
僕にとって大瀬さんはいいねって言ってくれるだけじゃなく、時にはお前それどーなの?と叱ってくれたり、ヒントをくれるいい先輩、兄貴って距離感で。それが凄く自分を思ってくれているようで嬉しかったりする。こないだの小原さんのタイのレースでの投稿も大瀬さんに触れられていた刺さったなぁ。核心をついてると言うか、やっぱり俺が好きな大瀬さんって感じです。
次第にお互い無言になり、前を走る選手を一人ずつ拾っていく。トレイルに入るまでしばらく続く緩いロードの登り坂。傾斜がきついところは大瀬さんは速い。なだらかな所は自分の方が気持ち速いので、少し後ろでペースを微調整しながら、いよいよトレイルに入っていく。夜が明けてきた。
砂利の林道から細いトレイルに入るところで河内陽介選手を吸収する。新城ダブルで優勝してたり、今年は信越五岳100マイルで4位とミドルレンジからロングまで滅法強い。よく西方さんと練習している東海地区の実力者。
「河内さん、行きましょう!」
「お、ナトリ君、体調良くなったの?」
「ぼちぼちですかね。前よりは全然いいです。」
河内さんはニコニコ走ってる。後半も強いんだよな…
一緒に走ったことが何度かあるから河内さんの強さはよく分かってる。斜度がきつい登りも淡々と走ってくる。西方さんと一緒でネジが外れてんのよ…
大瀬さんとランデブーから河内さんも含めた3人パックで前を追う。また一人、竹村直太選手も吸収。関西のウルトラトレイルに強い実力者である。まじで今日はオールスターだなぁ…
後ろから追い付いてきた喜多村久選手もパックに加わる。Asia Trail Masterのレースによく出場してる実力者。今もマレーシアに住んでるのかな?上下Uglowのセットアップにウエストベルトのみのミニマムスタイル。かっくいぃ…
5人でトレイルから一旦ロードに出てチェックポイントの9.7km宝蔵院通過。17位
さぁここからは一旦トレイルに入ってから林道。ひたすら走れる。だけど足を使い過ぎたくはない。10km過ぎに前から落ちてきたノースフェイスアスリートの鬼塚選手を吸収。
「鬼塚さん、やっぱ先週の疲労ありますか?」
「走り始めたらやっぱ残ってたねー!前速いよ。」
「じっくり行きましょう!」
今年のFUJI100マイルで3位、ITJの前週に開催された湘南国際マラソンでも2時間33分とトップランナーである。九電工の実業団在籍時の戦歴ももちろん、今もなおトレイルシーン活躍し続ける九州のレジェンド選手。
トレイルはペースは上がらなさそうだったけど、林道に入るとさすがのスピード。竹村選手と河内選手は後退し、パックを喜多村選手が引っ張る。前の菊嶋啓選手、米倉健人選手に追い付く。
喜多村選手
菊嶋選手
鬼塚選手
大瀬選手
米倉選手
ナトリ
6人パックで林道をひた走る。
少しずつ気温も上がってきた。
このパック、ペースが早い。
手元の心拍数で176bpm、このまま行ったら確実に持たない。
レース中は常に選択の連続、時にはリスクを背負って攻めることも必要である。
ただ今日はこの段階でリスキーな選択を取ることは、無茶だと判断して、パックから離れることにした。仕方ない、あとで挽回するチャンスが絶対くるはず。
無理の無い範囲、パックが視界にギリギリ入る範囲でレースを進める。みんなキロ4'00~4'10で林道をガンガン走っていく。
単独で21.4kmのチェックポイントA1こがね橋(C3諸坪峠)に到着。17位
ここまでで序盤戦は終了。
ここから中盤戦。
29km二本杉峠、40km仁科峠、51km土肥駐車場とITJの核心部に入っていく。細かいアップダウンが続くトレイルから、気持ちいい稜線が続く。前半飛ばした選手はここで失速し、足を残していた選手はどんどん順位を上げていく。
僕は毎度耐久戦。どこまで持ちこたえられるか。
こがね橋のエイドは少しコースから外れる為、タイムロスも加味して毎度スルー。つまりスタートから40kmの仁科峠のエイドまで補給を切らしてはいけない。
チェックポイントからトレイルに入るまでの登りはきついけど、心拍が上がらないように我慢しながら走る。うぅ…まじできつい…
たまに弱気になって振り返る。河内さん近づいてきてるなぁ…
トレイルに入ってから潰れてる矢部達也選手を追い抜く。今日の優勝候補の一角だと思っていたので、驚きもあるが先を行かせてもらう。今年は比叡山50マイルでぶっちぎりで優勝、奥信濃100でも長田選手に続いて準優勝と実力は折り紙付きである。
まぁ抜いたはいいものも俺も限界である。ペースが上がらない。ここのセクションは走らされた後のダメージを抱えたまま細かいアップダウンを越えていかなくて行かない。ここの細いトレイルで再度、河内選手に道を譲る。
「ナトリくん!潰れるの早いぞー!」
潰れてねーし…
こっからだし…
もうひとり、吉村健佑選手にもパスされる。今年のUTMFで8位、ロングの実力者で足取りもめちゃくちゃ軽い。
この区間単独走もきついけど、誰かについていくのも正直しんどい。もうひたすら粘るしかない。幸いまだ足は止まってない。なんとか登りも走れてるし、心拍数も落ち込んでない。正念場である。きっつ
開けたところで長田さん発見。
「ナトリ、まだ前近いぞー」
そうなのね。近いのね。ペース上がらないけどね。
二本杉峠もクリア、標高もだいぶ上がってきて35km通過、エイドまでもうちょいだ。
いいぞ、きついけど粘れてる。水も切れてない。
次のエイド、仁科峠まであと3kmのとこで萩須創太選手に抜かれる。でもペースはそこまで早くない。なんとかチェイスする。ピーク通過。伊豆の久保田お姉さんから声援もらう。
「ナトリくん!!もうエイド近いよ!」
きつかったので、頷くだけが限界でした…
ありがとうございます!
こっから下る。
よっしゃリズムが戻ってきた。
視界も開いて、メンタルも回復してきた。
エイドまであと少し!
稜線で奥島さんがカメラを構えてる。
10代の時から、ハセツネや東海地区の大会で頑張ってる姿を写真におさめてもらってきた。今年もきましたよ!
相変わらず、きついけど、嬉しくなる。
ここからだ、今日はやってやるよ。
奥島さんから檄をもらいロードに出る。
嫁氏発見。
「マサ!16か17位!頑張って!」
小さく頷く。
30km手前で抜かれた河内さんに追い付いた。
河内さん、今日はデッドヒートですね…
レベルが高いレースだ、こりゃあ
歓声が聞こえてくる。
A2、40.2km仁科峠到着。16位
鎌倉のあやさん、ニーマルのみっちちゃんから声援もらう。まじでありがとう。
まだエイドには先着した4人ほど選手がいた。僅差じゃねーか。でも落ち着いて補給する。まずコーラ。次に俺は摂取すのゼリー。最後に水。
ユニバーサルフィールドの高木さんから
「ナトリいつまでいるんだよ!早く行け!」
と野次が飛ぶ。笑
友達のつっちーから、
「いいじゃん、まだ前近いよ!いけるいける!」
いつもありがとうな!
レース終わったら飯行こう。
鏑木さんから
「ナトリくん、どうですか?」
「いやぁ…もう売り切れてますw でも伊豆、久しぶりに戻ってきたんで!楽しんでます!」
「まだ諦めてないです!」
マイクパフォーマンスも大事だね。
みんな本当に本当にありがとう。
さぁいくぞ、全員抜くぞ。
戦闘モードでエイドを出る。
こっから綺麗な稜線がしばらく続く。前の選手も見える、射程圏内だ。
少しずつ前の選手の背中が近づいてくる。
稜線の登りは頑張らず、パワーウォークで粘る。無理にペースを上げない。
淳平さんがカメラを構えてる。
「ナトリ!こっから!」
もちろんですよ、いきますよ。
少し先には尾崎さんもいて檄をもらう。
ありがとうございます!
抜いてやらぁ…
稜線から日陰セクションに入る。細かいアップダウンが足にくるなぁ。
でもここは登りも淡々と走る。
さぁプッシュする時がきた。
先にエイドを出た、萩須選手、米倉選手、竹村修平選手を抜いていく。
そして河内選手とまた合流。
ランデブー再開である。
二人で前を追う。今13位か。
トップ10が見えてきたぞ…
あと20km弱…
いける、後半下り基調。
ここでプッシュしろ、攻めろ。
幸い足はギリギリ動く。
河内選手もちぎった。
あと3人、ゴールまで持つか?
トレイルからロードに入る。
エイドが近い!
「ナトリくん!いけるいける!」
「ナトリくん~!前近いよー!」
ボランティア、誘導の皆さん、沿道の皆さんから激励をもらう。
はぁ…
はぁ…
まじできつい、限界間近。
もうちょい頑張ってくれ、俺の足。
あともうちょいなんだ。
残り1.5kmでエイド。
足が止まった。
両足が痙攣してる。痛い。激痛で顔が歪む。
一度屈伸。
歩いたらダメだ、走れよ、俺の足、動いてくれ。
うつむきながら、右、左、右、左と足をとにかく動かすことに集中する。
河内選手から
「ナトリくん!こっから!」
こっからなんだよ泣
道を譲る。
歩く、歯を食いしばって少し走る、また歩く。
やべぇ限界だよ。
またひとり、また一人、さっき抜いた選手に抜き返されていく。
ようやく、本当にようやく、51kmの土肥駐車場エイド着。
深くパイプ椅子に座り込む。
足が震えてる。ダメだこりゃあ。
全然足が動く気がしない。
低血糖?脱水?いずれにせよ、限界だ。
後ろからきた万場選手を眺めながら、スタッフの方に促されて医務室に連れていってもらう。
暖かい部屋で横になる。
まず嫁氏に止まっている旨を連絡、その後にトレイルサーチで今の自分の位置を確認。歩けばゴールまでいけるはず。
食べれるものは全部入れて目を瞑る。
胃はめちゃくちゃ元気。
はぁ…まだ足がプルプル震えてる
1時間経った。
足の痛みが少し和らいだ。
行こう。
あー、エリートのブラックゼッケン恥ずかしい。こんな位置で走って、くっそ…
土肥駐車場のボランティア、メディカルの皆さんにお礼を伝え、エイドを出る。
最後の達磨山のピークを目指してとぼとぼ歩く。なんだよ歩くのもきついよ。
ちょっとした木段の登りも両膝に手をついて休んだ。なんでさっきのエイド出ちゃったんだ?
止めれば良かったなぁ…とか思いながらゆっくりゆっくり登っていく。達磨山の登り、はてしなく思えた。
「ナトリさん!どうしたんですか?」
「まだいけますよ!」
追い抜いていく選手に苦笑いで応えながら、早くこのしんどさから解放されたいと思いながら歩を進めた。
ようやく達磨山山頂。
向井成美選手に抜かれる。
関西、いや日本を代表するスーパーランナー。
自分は認知されてないと思っていたのだが、声をかけていただいた。
「ナトリさん、どうされましたか?」
「いやぁ、潰れちゃって。」
「成美さんもこの位置、どうしたんですか?」
「いやー、お互い頑張りましょう!」
後で成美さんのインスタで伊豆の投稿を見て、申し訳無く思った。なんであんなこと言っちゃったんだと。勝負が全てじゃないよなぁ。ごめんなさい。
そこから先でこの足ではゴールは無理だと判断して止めることに決めた。達磨山から下りる道でミチタローが応援に来てくれた。いいとこ見せれなくてごめん。いや俺頑張ったんだけどね、ダメだったわ。
本当に熱い男だよ、お前は。遠くまでありがとう。
スタート前に健闘を誓ったセブンも後ろから元気よく走ってきた。楽しそうで羨ましいよ。
55km 途中棄権
タグをスタッフに渡し、嫁氏に車でピックアップしてもらった。
ゴール会場に向かう車内、あんまり喋らなかった。ごめんよ。また次頑張るから。
ゴール会場ではレースで戦った皆さんとたわいもない話しや、あれこれ。
西村チャンプとも沢山話させていただいた。
来年ハセツネ楽しみにしてます。
一緒に試走行きましょう!
ニーマルのみんな、ありがとう。
70K女子4位のたまちゃん、ゴールも表彰式もずっと泣いてた。3位になれなくて悔しかったと。そうだよな、悔しがれなくなったら終わりだよな。そこまで俺もやらないと。
また来年、ITJに戻ってくるよ。
今は清々しい気持ちと、またこっからやってやるよって気持ちと。
そうか、今日は出しきれた。
限界をプッシュできた、ワンアップ、成長してるんだ俺も。
次は結果を。
応援していただいた皆様、ありがとうございました!
サポートしていただいている皆様
Tabisuke Tabizo様
バックパック、最高でした。アトリエの皆さん、レース前に来ていただいて本当に嬉しかったです。今年、結果残せなくてすみません。でも俺にベットしてください。また這い上がります。
New-Hale様
芥田さん、レース前気合い入れてもらってありがとうございました。
「一人で走ってんじゃねーぞ!」
絶対、どんな時も忘れないです。
Halo Headland / Rigfootwear様
栗原さん、レース前日はありがとうございました。プロダクトへの熱意、いつも感じてます。これからも応援していただけたら幸いです。また頑張ります!
INNER-FACT様
首藤さん、必携品、ソックス。これがないとダメです。足はノートラブル。魅せれる選手になります。また1杯やりましょう!
ありがとうございました。
厚木大学、高松山のみんなもありがとう。
また一緒に練習しましょう!
娘娘スタッフのみんな、またお店も頑張ろうね。こんな店長だけど、仕事も真剣にやるっす。
またみなさん会いましょう。
ナトリ
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